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2026-10-31 08:36:00

同じ家族なのに、どうしてこんなに違うんだろう。

家族は、最初からチームではありません。 「同じ家族なのに、どうしてこんなに違うんだろう。」 子どものことを考えている時、 そんなふうに思うことがあります。 同じ家に住んでいる。 同じ子どもを大切に思っている。 同じ毎日を過ごしている。 それなのに、 考え方が違う。 感じ方が違う。 動き方が違う。 「どうして同じように考えてくれないのだろう」 と思うこともあるかもしれません。 でも私は、 それは家族としてうまくいっていないから、 とは限らないと思っています。 お母さんには、 お母さんの時間があります。 子どもの小さな変化に気づいて、 心配して、 調べて、 相談して、 毎日の暮らしの中で工夫しながら歩いてきた時間です。 目に見えることだけではありません。 頭の中でずっと考えてきたこと。 不安になったこと。 迷ったこと。 「これでいいのかな」と何度も立ち止まったこと。 そうした時間の積み重ねがあります。 だからこそ、 お母さんの思いは深くなります。 そして時には、 「どうして私ばかりこんなに考えているのだろう」 と感じることもあります。 私は、 その気持ちをとても自然なものだと思います。 お父さんには、 お父さんの時間があります。 最初から、 同じように気づけるとは限りません。 すぐに言葉にできるとも限りません。 戸惑って、 どう関わればいいのか分からなくて、 少し離れたところから見ていた時間があるかもしれません。 仕事との間で気持ちが揺れたり、 自分なりに家族を守ろうとしていたり、 でもそれがうまく伝わらなかったり。 少し遅れて、 「ああ、この子はこういう子なんだ」 「お母さんはこんな思いでいたんだ」 と気づいていくこともあるのだと思います。 その歩みは、 お母さんと同じ速さではないかもしれません。 でも、 違う時間を歩いてきたからこそ、 見えてくるものもあるのかもしれません。 そして、 子どもにも、 その子自身の時間があります。 大人が思うよりゆっくりかもしれない。 急に進んだように見えて、 また立ち止まることもあるかもしれない。 でも、 その子はその子の速さで、 ちゃんと育っています。 大人の期待どおりでなくても、 周りと同じでなくても、 その子にはその子の歩幅があります。 家族がその歩幅を知っていくことも、 家族になっていく過程の一つなのだと思います。 家族というと、 「分かり合えているもの」 「同じ気持ちでいるもの」 というイメージを持つことがあります。 でも実際には、 そんなにきれいにはいかないものです。 意見が違う日がある。 気持ちがすれ違う日がある。 どちらかが先に気づいて、 どちらかがあとから追いつくこともある。 疲れてしまう人もいる。 立ち止まる人もいる。 それでも私は、 全部が同じでなくてもいいのだと思います。 同じタイミングで、 同じことを、 同じように感じなくてもいい。 大切なのは、 いつもぴったり同じ気持ちでいることではありません。 大切なのは、 「この子が安心して育ってほしい」 という願いを、 少しずつ共有していくことなのかもしれません。 表し方は違ってもいい。 得意なことが違ってもいい。 歩く速さが違ってもいい。 でも、 向かっている先が同じなら、 そこからまた話すことができます。 「私はこう思っていた」 「僕はこう考えていた」 そんなふうに少しずつ言葉にしながら、 家族は形になっていくのだと思います。 最初から、 完成したチームなのではなく、 迷いながら、 ぶつかりながら、 支え合いながら、 少しずつチームになっていく。 それが家族なのかもしれません。 そして時には、 家族だけで頑張ることが難しい時もあります。 夫婦だけでは整理できないこともあります。 子どものことで精いっぱいで、 お互いの気持ちまで受け止めきれない時もあります。 そんな時は、 誰かと一緒に考えればいいのだと思います。 支援者が入ることで、 初めて話せることもあります。 少し言葉が整うこともあります。 家族が完璧になることが、 支援のゴールではありません。 その家族が、 その家族なりの方法で、 少し安心して暮らしていけること。 それが大切なのだと思います。 10月の「家族になる途中で」では、 何も言わないお父さんのこと。 仕事ばかりに見えるお父さんのこと。 お父さんも少しずつ父親になっていくこと。 そんな姿を描いてきました。 その最後に私が改めて思うのは、 家族は最初から、 一つの完成した形ではないということです。 お母さんにはお母さんの時間があり、 お父さんにはお父さんの時間があり、 子どもには子どもの時間がある。 その違う時間が、 少しずつ重なっていく。 その重なりが、 家族という形をつくっていくのだと思います。 今日、ひとつだけ。 完璧な家族でなくていい。 分かり合えない日があってもいい。 同じ気持ちになれない日があってもいい。 でも、 「この子が安心して育ってほしい」 という同じ方向を向けたら、 そこからまた始められるのだと思います。 迷いながらでいい。 少しずつでいい。 誰かが先に歩いてもいいし、 あとから追いつく人がいてもいい。 家族は、 最初からチームではありません。 暮らしの中で、 少しずつチームになっていきます。 そして、 その歩みはきっと、 それぞれの家族らしい形でいいのだと思います。 10月のシリーズを見てくださった皆さま、 ありがとうございました。 今日、ひとつだけ。 家族は、少しずつチームになっていきます。 中里りか 特定非営利活動法人エヌ.かんぱにぃ